ピアノの表現力とダイナミクスに震えた日。
ピアノの表現力に震えた日
6月4日、ヴィクトール・ゴールドベルグさん@トッパンホールのピアノ・リサイタルに行きました。細かい感想はさておいて、忘れていたピアノのダイナミクスと表現力に、心底驚きました。
会場が飽和するピアノの大音量
ピアノって本当に小さな音から大きな音まで鳴るのですね。
ムソルグスキーの「展覧会の絵」のキエフの大門が演奏会のフィナーレだったのですが、地鳴りのような音のうねりに体が包み込まれました。トッパンホールは400席ほどの小さめのホールなので、「会場の大きさが足りない!」と思うほど音が飽和していました。
「作曲家」の音
アンコールで1作品ごとに違う作曲家の曲を弾いてくださったとき、特に表現の違いが鮮烈でした。
「スカルラッティのp(ハープシコードのようなp)」とか、ラフマニノフの時はラフマニノフの音、チャイコフスキーの時はチャイコフスキーの音が鳴る。
チャイコフスキーの「舟唄」のときなんか、聴衆がみんな舟をこいで眠りそうになっていました。笑霧がけぶるような湖上で、本当に舟をゆったり漕いでいる気分になったんです。
「打ち込み」と「生ピアノ」との超えられない壁を感じるのも一興
わたしが普段接している電子ピアノとサンプリング音源では、基本的に音の違いは「強弱」で、「大きさはp(ピアノ)やpp(ピアニッシモ)なんだけど、芯があって強い音」「物憂げなf(フォルテ)」なんて表現が難しい。打ち込みの音もどんどんリアルになっていくと思いますが、本職のピアニストさんの「その作者、その曲、その部分」に合わせて出した音とは比較できません。
当たり前のことを書いているんですが、それでも書きたかったほど衝撃でした。
たまにCDやyoutubeじゃなく、コンサートに行くのはおすすめです。
どの楽器でも、「楽器一つでここまでのダイナミクス、表現が出来るんだ」という衝撃が待っているはず。